生徒のどんな勉強スタイルが成績を上げるのか?

教育心理学 オンライン家庭教師

勉強に取り組む姿勢はとても大切です。

親御さんや学校の先生も生徒に勉強に取り組む姿勢を身につけさせようとします。

では、どんな勉強スタイルを身につけると成績アップにつながるのでしょうか?

勉強姿勢や勉強スタイルに悩まれる生徒さんは多いです。

なので、今回は、心理学的に成績向上に有効な勉強スタイルについて実際の研究をもとに紹介します。

①勉強スタイルとは何か?

勉強スタイルとは、ここでは「学習内容をどう処理するのか」や「勉強内容をどのように考えて関連づけるのか」という勉強のやり方の違いくらいに考えていただけると分かりやすいと思います。

同じ学習教材を先生から与えられても、生徒によってとらえ方も理解の仕方も異なります。

例えば、歴史で「織田信長が銃を駆使して戦った」ことを授業で学んでいる時に、「”織田信長=銃”と事実として覚えておこう」と暗記の対象にするか、「銃をかまえる織田信長の光景」を思い浮かべて視覚的に処理するかで、歴史の理解力が変わります。

このように、暗記的に処理するか、想像して視覚的に処理するかという学習内容の処理の違いをここでは“勉強スタイル”と呼びます。

では、この勉強スタイルにはどのようなものがあるのでしょうか?

②心理学が提唱する4つの勉強スタイル

心理学ではたくさんの勉強スタイルが提唱されていますが、その中でも研究で使われているのが「学習過程調査票(LIP)」と呼ばれる勉強スタイルの分類法です。

LIPとは、勉強スタイルを「総合・分析」「精緻化(せいちか)」「事実記憶」「勉強法」の4つに分けて考える方法です。

「総合・分析」

まず、総合・分析とは、「複数の習ったことをどう理解すればいいのか」「覚えるべき内容をどうまとめたらいいのか」など、学習内容を自分なりに評価したり、組織立てたり、分類したりするスタイルを指します。

つまり、習ったことを自分なりにしっくりくる分け方ができるかどうかです。

「精緻化(せいちか)」

次に、精緻化(せいちか)とは、「習ったことの背景まで想像してみる」「問題解決までの流れを考えてみる」など、与えられた学習内容を自分なりに応用したり、想像したり、関連づけたりするスタイルを指します。

つまり、自分なりに習ったことを頭の中でこねくり回すかどうかです。

「事実記憶」

次に、事実記憶とは、「形式や名前や日付を覚える」「記憶力がある」など、学習内容を事実として詳細に頭の中に残すスタイルを指します。

つまり、自分なりに習ったことをどれだけ記憶できるかです。

「勉強法」

最後に、勉強法とは、「勉強時間を確保する」「ノートをとる」「図書館をよく利用する」など、学習の方法に関するスタイルを指します。

つまり、自分なりの勉強方法が確立しているかです。

勉強スタイルの種類

これら4つの勉強スタイルがあります。

どれも勉強成績アップには欠かせないように思われますが、いったいどのスタイルが勉強成績と関係するのでしょうか?

③成績アップにつながる勉強スタイルとは?

では、先ほど紹介した4つの勉強スタイルのどれが成績と関係するのか。

それを調べたのが、2011年の南イリノイ大学のKomarrajuらの研究です。

学生の性格と勉強スタイルが学業成績と関係性があるのかを調査しています。

勉強スタイルと学業成績との関係性

この図のように、「総合・分析」と「勉強法」の2つの勉強スタイルをとる人ほど学業成績が高いという結果でした。

具体的には、学習内容を自分なりに分けたり体系立てたりできる学生は、学業成績も高くなります。また、自分の中で勉強時間を決めて勉強習慣がある人、あるいは自分の勉強の方法論がちゃんとできている人は学業成績が高いです。

ちなみに、「精緻化(せいちか)」と「事実記憶」は学業成績と関係性はあるとは言えませんでした。

なので、学んだその場でいろいろ考えたり暗記的に勉強したりしても長期的には成績にはつながらず、勉強習慣があり自分なりに体系的にまとめられる方法論を確立している生徒は成績が上がるかもしれません。

④まとめ

以上をまとめると

  • 勉強スタイルとは、学習内容を自分の中でどう処理するのかということです。
  • 勉強スタイルには、「総合・分析」「精緻化(せいちか)」「事実記憶」「勉強法」の4つがある。
  • 勉強スタイルの中でも、成績アップにつながるのは「総合・分析」と「勉強法」である。
  • 自分なりの勉強法と勉強習慣の確立と、体系立てて理解することが成績アップの秘訣。

勉強スタイルは大事ですが、なかなか一人で勉強法や勉強習慣を作りあげるのは難しいです。ましてや、自分なりに学習内容を体系立てて理解するのも生徒にとっては結構高度なことです。

親や学校の先生がいくら言っても身につかず、困っている生徒さんは多いです。

そこで大切なのは、勉強習慣や勉強方法まで見てくれるお兄さん・お姉さん的存在です

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家庭教師だとマンツーマンで子どもの勉強スタイルと向き合えます。

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参考文献

Cassidy. S. (2004). Learning Styles: An overview of theories, models, and measures. Educational Psychology, 24(4), 419-444.

Komarraju et al. (2011). The Big Five personality traits, learning styles, and academic achievement. Personality and Individual Differences, 51, 472-477.

Schmeck et al. (1977). Development of a Self-Report Inventory for Assessing Individual Differences in learning Processes. Applied Psychological Measurement, 1(3), 413-438.