ノート指導を早期に行うことが成績アップのカギ!

成績に伸び悩んでいる…

授業中、寝ずに真面目に授業を受けて、先生の板書もちゃんと全部ノートに書き写す生徒でもこの悩みはあります。
この生徒は、先生の期待することは真面目にやっているので、特段気にされないことが多いです。

しかし、真面目に勉強をしているのに成績が伸びない生徒ほど、実は気にする必要があります。
このような生徒の成績を伸ばすための一つの方法が、ノートの取り方を教えることです。

実は、教育心理学の研究でもノートの取り方一つでテストの成績が変わると言われています。
今回は、生徒にノートの取り方を教えることで成績が伸びるという、教育心理学の研究をご紹介します。

①ノートの取り方を教えるだけで成績の伸びが違う!

あまり、日本ではノートの取り方を教わる機会がありません。
そのため、先生の板書をただそのままノートに写して満足してしまう生徒が大半です。

この「板書をそのまま写す」というノートの取り方は実はあまり記憶に残らず、勉強成績も上がらないやり方だと教育心理学では言われています。

それを示したのが、静岡大学Kobayashiが2005年に発表した研究です。
彼はたくさんのノートの取り方とノート指導の研究を集めて、分析をしなおし、どのようなノート指導が記憶や勉強成績向上に効果的なのかを調べました。

ノート指導として以下の四つの方法を比べています。

1) 有効なノートの取り方を指導する:自分で授業のまとめを書くなど、効果的なノートの取り方やテクニックを生徒に教える。

2) 口頭で生徒にノートを取るように言う:明確にノートの取り方を教えるのではなく、単に授業内容の概要やまとめなど、有効なノートの取り方を口頭で生徒に伝えるのみ。

3) 何も言わない:ノートを取るように言うだけで何も具体的なことは伝えない。

4) 無効なノートの取り方を口頭で言う:板書をそのまま写すだけのように、有効性の低いノートの取り方を口頭で伝える。

これら四つの条件を比べてみると、1)~3)までは勉強成績向上に効果的でしたが、4)は勉強成績向上に効果はありませんでした。

また、Kobayashi(2005)は同じ研究で、学年の違いによってノート指導の効果が異なるのかも調べています。

すると、「小学校から高校生まで」と「大学生以上」とを比べてみると、高校生までにノート指導をした方が、より勉強成績向上の効果が高いことが示されています。

まとめると、授業の概要を書かせたり、まとめをさせたり、生徒が自分の気づきを書いたりなど、効果的なノートの取り方をできるだけ早期に教えることが成績の伸びにつながります。

大事な点は、単に板書を写すのではなく、自分で積極的にノートを作っていくという姿勢です。

②ノートを見返すことを教えるだけでも成績アップにつながる!

ノートは単に取って終わりではありません。
ノートを見返すことも、テストの点数や勉強成績向上には欠かせません

同じく、静岡大学Kobayashiは、2006年に発表した論文でそのことを示しました。
特に、ノートを取ることだけではなく、見返すこともすると勉強成績向上にかなり有効だという結果でした。

また、ノートを見返すために、先生が配布するノートやプリントもあれば、よりテストの点数や勉強成績向上に効果的であることも示されています。

先生が作成して配布したノートやプリントは、学習内容のどの部分が大切なのかがわかり、さらにその部分に生徒の注意を向けさせることもできます
配布物は、生徒が書きこぼしていた箇所を補い、生徒がノートを取るときも見返すときも効率的にできるようになります。

③まとめ

以上より、

  • 単に板書を写すだけでは、あまり勉強成績向上にはつながりにくい。
  • ノートの概要を書かせたり、授業のまとめを書かせたりするような、生徒がノートを自ら作り上げる姿勢を整える指導が効果的。
  • ノート指導は、小学生から高校生までの間にすると勉強成績向上の効果が高まる。
  • ノートは書くだけではなく、見返すことで勉強成績向上を加速させる。
  • 先生から配布されたノートやプリントも、生徒が自ら書いたノートと一緒に見返せば勉強成績向上につながる。

意外とノートの取り方を知らない生徒は多いです。
単に板書だけ写せばよいというものではなく、ノートはもっと生徒の独自性が入ってもよいものです。
キレイなノートが重要なのではなく、自分で工夫してきれいにまとめるプロセスが大切です。

かてきょの森」では、生徒一人ひとりに合わせた指導ができます。
一人一人に合わせるからこそ、ノートの取り方まで指導することができます。
真面目に学校の授業を受けているのに、成績が伸び悩んでいる方は、ぜひ下記リンクからご相談ください。

参考文献

Kobayashi Keiichi.(2005). What limits the encoding effect of note-taking? A meta-analytic examination. Contemporary Educational Psychology, 30, 242-262.

Kobayashi Keiichi.(2006). Combined Effects of Note-Taking/-Rviewing on Learning and the Enhacement throgh Interventions: A meta-analytic review. Educational Psychology, 26(3), 459-477.