他の皆のノートの取り方と使い方:学生を大調査

授業中何気なく取っているノートですが、先生や親からノートの取り方を教わったことはありません。
そのため、自分のノートの取り方が正しいのかに疑問を抱くこともあります。

「成績の良いあの子は、成績の悪い自分と比べてノートの取り方が違うのだろうか?」

同じ授業を受けているのに成績に差がつくのは、ノートの取り方の問題かもしれません。
今回は、そんな不安にお答えして、皆がどのようなノートの取り方をしているのかを調査した教育心理学の研究をご紹介します。

なお、本記事掲載の図は、論文の数値を参考に筆者が作成しています。

①皆はどのようなノートの取り方をしているのか?

ノートの取り方に関する研究は、結構古くからあります。
その中でも、比較的最近のノートの取り方を調査したのが、ケント州立大学のMoreheadらが2019年に発表した研究です。

彼らは、55項目ある質問紙を使って、過去の古い研究と現在の学生のノートの取り方を比較・調査しました。
まず、最初の結果が以下の図のようになりました。

この左上の図のように、96%の学生が授業ノートを取っています

そして、右上の図のように、ノートを取る必要性も88%の学生が実感しています
これは、過去の古い研究と比べても同じくらいです。

では、現在の学生はどんなノートを使用しているのでしょうか?
それを示したのが下の図です。

上の左図のように、紙のノートが86%で圧倒的に多く、パソコンでノートを取る学生は半分以下でした。
デジタル時代の現代においても、やはり紙のノートが主流なのですね。

次に、どのようにノートを取っているのか?
自分でノートの構成を考えながら書いている人は56%
単に先生の板書やパワーポイントをコピーしている人は30%

つまり、半分以上の人は単なる書き写しではなく、自分でわかりやすくしたり工夫してノートを取っています。
この、自分なりの工夫で成績に差が出そうな気もしますね。

では、工夫してノートを取る人はどのような工夫をしているのでしょうか?
それ先ほどの右下の図です。

第一位 概要を書く(Outline) 85%
第二位 言い換える(Rephrase) 36%

多くの人が、自分なりに先生の言葉をわかるように言い換えたり、授業の概要を書くといった工夫をしているようです。

②皆はノートをどのように使っているか?

先ほどはノートの取り方を見てきましたが、取ったノートをどのように利用しているのかも調べています。
その結果が以下の図です。

最初に重要なのは、ノートは取って終わりではないことです。
見返すことが必要ですが、どのように見返しているのかです。

一番多いのが、「再読する」ことです。
次が、同率2位で、「カードを作る」「印や線引きをする」「(頭に入ったか)自分をテストする」です。

つまり、ノートの使い方としては、「もう一度復習するのに読むこと」と、「頭に入るような工夫を施すこと」の二つです。
自分のノートなので、自分なりにアレンジすることが大事で、そのアレンジを頭に入れるために再読します。

③ノートの取り方に男女差はあるのか?

年代によっては、女の子の方が男の子よりも得意な科目があります。
では、ノートの取り方でもそのような男女差は見られるのでしょうか?
それを示したのが以下の図です。

男女差があったのが、これらの項目です。
まず、授業でノートを取る割合は、女の子の方が少し多いです。

また、果的な学習のためにノートを取ることが必要だと考えているのも、女の子の方が多いです。

そして、女の子の方が、パワーポイントでの授業でも自分で手書きでノートを取る割合が多いですし、良いノートを取ろうとするのも女子の方が多い。
よって、女の子はノートを取ることを男の子よりも重視しています。

ノートを取る多さは、それだけ授業で習ったことを記録できます。
研究では、成績との関係は調べていませんが、ノートを取る姿勢の違いで成績にも違いが出るかもしれません。

④まとめ

以上より、まとめると以下のようになります。

  • 学生のほぼ全員がノートを取っていて、9割弱がノートの必要性を感じている。
  • 今での紙のノートが圧倒的に多く、パソコンでノートを取る割合は半分にも満たない。
  • 自分なりに考えながら工夫してノートを取る人が多い。
  • 工夫では、概要の記述と言い換えが多い。
  • ノートの使い方として多いのは、再読すること。
  • その次に、線引きなど自分なりのアレンジが入る。
  • 女の子の方が男の子よりも、ノートを取る姿勢がある。

なかなか他人のノートを見る機会はないです。
そのため、自分のノートの取り方が効果的なのかもわかりません。

実際、この研究でノートの取り方を教わったことがあるかを質問していますが、学生の約半数しかいません
半数の人はノートの取り方を教わらないのです。

かてきょの森」では、子ども一人ひとりに合った先生が子どもの特性に合わせて指導ができます。
そのため、効果的なノートの取り方も教わることができます。
ぜひ、下記のリンクからノートの取り方を教えてもらって成績を伸ばしましょう!

参考文献

Morehead et al. (2019). Note-taking habits of 21 Century college students: Implications for student learning, memory, and achievement. Memory リンク.